メンタ,MENTA,入江慎吾
2022.02.15

「MENTA(メンタ)」で未経験からエンジニアになれる!?|MENTA 代表 入江慎吾氏インタビュー


コロナ禍をきっかけに、「副業」をはじめたり、フリーランスに転向したりと自分らしい働き方を実現しようとする人が増えている。その一方で、サービス業などで休業を余儀なくされ、新しい職を模索する人も然りだ。

そんな中、“オンラインメンターサービス” 「MENTA(メンタ)」は、変化する働き方のニーズに応えるサービスとして人気を集めている。「MENTA」は、副業で知見を教えたい人と、新しいスキルを学びたい人のマッチングプラットフォームだ。

2018年にサービスをリリースすると、右肩上がりでサービスは成長。2020年には、クラウドソーシング事業を展開する「ランサーズ株式会社」のグループ会社となり、現在は登録者数が4万人を超えた。

「MENTA」には、さまざまなカテゴリーのメンターが在籍するが、特に現役エンジニアやデザイナーのメンタープログラムが人気だ。「プログラミング」「Webデザイン」などのスキルアップ講座を利用する方の中には、未経験から“デジタルスキル”を活かした仕事へ転職した実例もあるという。

まさに「デジタル人材不足」の課題解決にも、一翼を担うサービスだ。時代のニーズに合った革新的なサービスは、どのように生まれたのだろうか?今回は、「MENTA株式会社」代表取締役 入江慎吾氏に取材。起業のきっかけからサービスの詳細、今後のビジョンまでお話を伺った。


メンタ,menta,入江慎吾
インタビューイー
入江 慎吾
Shingo Irie
MENTA(メンタ)株式会社 代表取締役

入江テック株式会社 代表取締役
1982年生まれ長崎県五島列島出身。
WEB制作会社で約10年エンジニアとして従事。その後、フリーランス、個人開発でサービスを多数開発。
2018年 「MENTA」のサービス提供開始。
2020年 ランサーズ株式会社のグループ会社へ。

エンジニアとしての “実体験” がサービス開発に繋がった


メンタ,menta,オンラインサービス

────早速ですが、「MENTA」についてお伺いいたします。“オンラインメンターサービス” とは、どのようなサービスなのでしょうか?

「MENTA」は、「教えたい人(メンター)」と、「学びたい人(メンティー)」を繋げるオンラインサービスです。“メンター(教える側)”には、エンジニアやデザイナー、マーケターなど数種類のジャンルがあり、主に “デジタルスキル” を持つメンターが多く在籍しています。

そして“メンティー(学ぶ側)”として利用される方は、「エンジニア」「デザイナー」を目指す初心者の方が多いのが特徴です。8割以上の方が、“デジタルスキル” の学習や、サポート(相談)を目的として利用されています。

「MENTA」は、個人メンターと直接契約するため、1,000円から単発利用できたり、月額3,000円から長期的にプログラミングを学習したり、自分の学習フェーズに合わせた利用が可能です。オンラインスクールに比べると、リーズナブルな価格で学べる点も「MENTA」の大きな特徴なんですよ。



────なるほど、「MENTA」は“デジタルスキル”学習が人気のサービスなんですね!このようなサービスを立ち上げるきっかけは何だったのでしょうか?

実は、私自身エンジニアなんです。今から20年ほど前に、エンジニアとして制作会社に入社してゼロからスキルを磨きました。当時は、プログラミングなどの教本や情報もほとんどなく、自分で学ぶことはとても難しい環境だったんです。なのでほとんどのスキルは、エンジニアの先輩方に学ばせてもらい習得しました。

そして2018年頃から、職業として「エンジニア」の人気も高まってきたこともあり、独学でエンジニアを目指す人が増えてきたんです。この時「周りにエンジニアの知り合いがいて、実際に教えてもらえる人って少ないだろうな……」と思ったんですよね。

私自身、先輩に教えてもらいながらスキルを習得できた実体験があったので、「ゼロから勉強をはじめた人が、スキルを持った人に“アドバイス”を貰えるプラットフォームがあったらいいな。」と考えるようになりました。これが「MENTA」を立ち上げるきっかけです。



メンタ,menta

────確かに未経験の分野って独学だとつまずく事も多いので、アドバイスを貰える存在が身近にいるかどうかは大きな差ですね。
ご自身もエンジニアとのことですが、入江様がエンジニアとしてどのような経験をされてきたのかすごく気になります!


はじめは、社内システムの構築などをメインとしたエンジニアでした。この時はじめて、自分のつくったモノが動く面白さや、プログラミングの楽しさを知ったんです。ゲームのような感覚で、仕事が終わって家に帰ってからも夢中でやっていましたね(笑)!

そのうちに、自社サービスの開発をしていく中で、徐々に作れるものの幅が広がっていきました。Webサービスや社内システムなどの“業務効率化”を図ることもしましたね。このあたりから、自分の提案や内容によってシステムを組み立てられることへのやりがいや楽しさ、エンジニアという仕事の可能性を感じるようになりました。

そして、エンジニアとして経験を積んでいき10年ほど経った頃、「iPhone」が発売されたんです。翌年2008年「iPhone 3G」の発売と共に、アプリケーションのダウンロードストア「AppStore」サービスが開始されました。

ここから、趣味で“アプリ制作”をはじめるようになったんですよ。この時初めて、“自分で作ったモノを、ダイレクトにユーザーさんに使ってもらう”という体験をしました。この体験からアプリ開発の面白さにハマり、結果フリーランスとして独立することを決めたんです。



メンタ,menta,入江慎吾

────起業される前は、フリーランスとして働かれていたんですね!

そうなんです。はじめは、「アプリを作って生活できたらいいな。」と思っていたんですが、現実はそう甘くありませんでした……(汗)。

はじめは数十本ほどアプリを制作したんですが、どれもヒットしませんでしたね。ですが一方で、受託で行っていたシステム開発とWeb制作は好調だったんです。

そのまま受託開発を主軸に、フリーランスとして10年ほど働いていました。ただ、この頃から「このまま受託開発だけでいいのか?」と自問自答するようになってきたんですよね__。

「自分のサービスだけに注力してみよう」と、決意を新たにしたことも「MENTA」立ち上げに至る1つのきっかけになっています。



────受託開発のお仕事は順調だったということですが、当時フリーランスになるのは、今よりずっと勇気がいる決断だったのではないでしょうか?

確かに、今のようにスキルを売り買いするプラットフォームもないですし、Web案件の数も少なかったですね。ただ、当時は若さもあったのでノリと勢いも大きかったと思います(笑)。

もちろん、エンジニアというのは“手に職がある”ことが強みです。だからこそ、「失敗してもなんとかなる」というのが後押しとなって挑戦できたのかもしれません。当時を振り返ると、今のようにオンラインで仕事を完結させることが主流ではなかったので、苦労する場面も多々ありましたね。

例えば、ビデオツールで打ち合わせを提案すると、直接来るように言われたり、メールしたら電話で返事が返ってくることなどはザラにありました(笑)。

仕事の受注方法にしても、当時はほとんどが紹介です。今なら、SNSで自分を売り込んだり、ダイレクトに仕事をもらうこともできるし、フリーランスとして働きやすい環境になっていると感じます。



「MENTA」人気の理由は、1歩踏み込んだ自分だけの学習プログラム


メンタ,ユーザー数グラフ

────続いては、「MENTA」のユーザーについてお伺いいたします。やはりコロナ禍をきっかけに、ユーザー数は増えましたか?

そうですね。2018年のサービスリリース時より、一定にユーザー数は伸びていました。ただ、コロナ禍の2020年1月以降からの登録者数は、著しく増加しましたね!およそ2年で2万人以上の登録者数が増え、昨年3万人を超えて、現在はさらに伸びて4万人を突破しています。

「MENTA」のユーザーさんは、先にお伝えしたように“未経験でスキルを学習する方”が圧倒的に多いのが特徴です。コロナ禍で転職を考えている方も多く、メンティーの中には実際にフランス料理人からエンジニアに転職を成功された方もいるんですよ。



────すごいですね!今までは、“デジタルスキル”学習をしようと思うと、「Webサービス」や「オンラインスクール」が主流だったと思います。「MENTA」がここまで人気になっている理由や、サービスの強みは何でしょうか?

おっしゃるとおり、無料でプログラミングの習得ができる「Webサービス」もありますし、「プログラミングスクール」に行くことも1つの選択肢です。そんな中で、「MENTA」が成長できている強みは、“スキルを持った現役メンターと、個人が直接繋がれる点”です。

「Webサービス」や「プログラミングスクール」の場合、普通はプログラムや教材が決まっていますよね。しかし、個人で繋がれる「MENTA」の場合、メンティー1人ひとりの状況、ステージ、目標や目的に合わせた“自分だけのプログラム”で学習ができるんです。

なので、まずは「何になりたいのか」目的を明確にして、状況に応じた勉強時間や、転職時に期待する年収まで、しっかりとしたヒアリングから始めるメンターの方が多いですね。

また現在メンターは、3,500名ほどご登録いただいていますが、そのうち約96%が普段はフリーランスや会社員として現役で働いている副業メンターです。現役だからこそ、自分の経験に基づいたアドバイスをもらうことができるので、納得感をもってプログラムを進めていけます。

現役だからこそ話せる、1歩踏み込んだ“キャリア相談”も人気ですね。



────キャリア相談までできるのは、心強いですね!

例えば、エンジニアといってもシステム・インフラ・Webなど種類がたくさんあります。「未経験ならここから始めるといい」とか、「この職種なら目指しやすい」「面接のときはこうしたらいい」など、より具体的にアドバイスがもらえるんですよ。

あとは業界的な話から、年収のリアルな話まで聞くこともできるかもしれません(笑)。
「MENTA」は、マンツーマンで“人間味のあるサービス”が受けられる点が、他にはない魅力だと思いますね!

他にも、「プログラミングスクールに通いながら」「独学でプログラミングを学びながら」といった、「MENTA」を“補助の役割“として利用される方もいます。このように多様で、柔軟な使い方ができる点も、ユーザー数が伸びている理由の1つですね。



メンターを探す

────自分のレベルに合わせて学べれば、時間もお金も無駄なくスキルアップできますね!それにしても、柔軟なプログラムで学べるのに、最安1,000円から利用できるのはかなりお安いですよね!?

単発での相談から、月額プログラムでのスキルアップ講座まで、さまざまな価格で学ぶことができます。「MENTA」の平均利用価格は、月1万円程です。なので多くのメンティーは、メンターとの長期的な関係を築き、月額プログラムで利用されています。

そしてスキルアップできるのは、教える側のメンターも同じなんですよ。私自身もメンターとして、開発手法やプロダクト周りの相談を受けることがあるのですが、人に教えるとなると自分の知識が浅い部分に気づくこともあります。メンターは、本当に深い理解をしていないと教えられないんですよね。

なのでメンターの方も、副業として稼ぐことを目的とするより、“教える面白さや自分自身の成長”をモチベーションとして利用される方が多いんです。



なぜ「ランサーズ」のグループ会社になったのか?


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────「MENTA」はリリース当初から順調にユーザー数を伸ばしていますが、2020年に「ランサーズ株式会社」のグループ会社となっています。これには、どのような理由があったのでしょうか?

「MENTA」は、2020年10月にランサーズのグループ会社になりました。グループ会社となった理由は、大きく分けて2つあります。1つは、2020年頃から「MENTA」が大きく急成長していたのですが、ユーザーが急増した事で今まで起きなかったさまざまな問題が起きるようになっていたことです。

「MENTA」は、もともと個人開発ではじめた事業なので、私とフリーランスのエンジニア数名で運営していました。少数だからこそ、事業が大きく成長した結果「カスタマーサポート」含め、新たな問題が発生していたんです。

2つめの理由は、今までゼロイチで小さな事業をたくさん立ち上げてきた経験はあるのですが、事業をグロースさせた経験がなかったからです。ここからさらに「MENTA」を大きく事業成長させるためには、知見やノウハウが必要だと感じていました。

そのため、“パートナー”としてマーケティングやプロダクト、経営戦略の面で豊富な経験を持つ大手企業を探すことにしたんです。それに、リソースや資金のフォローをしてもらうことで、1人でやるより早く成長させていけると考えました。



────では実際にグループ会社となって2年ほど経ちましたが、どのような変化がありましたか?

やはり、単純にリソースが増えたことも大きな変化ですが、長期的な戦略の立て方から数字の組み方など、経営面での相談ができることが大きな学びになっていますね。

すでに「ランサーズ」にあった知見を元にアドバイスをもらったり、相談できたりするのがとても良かった点です。また、必要に応じてさまざまな人に相談ができるので、サービスの成長にも繋がっています!

例えば、プロダクトをリリースする際に、「ここに問題があるんじゃないか」など、第三者の目線で意見がもらえるので、プロダクトの問題点に気付けたり、ブラッシュアップすることができるようになったんです。多様な意見がもらえるからこそ、見方も広がりましたね。



「MENTA」はスキル習得のサポートから、個人のエンパワーメントへ


ビジョン

────では最後に、「MENTA」が目指すビジョンをお伺いできますでしょうか?

おそらくコロナ禍で働き方の選択肢が増えたように、これから先は「会社」という枠組みが外れ「個人」で仕事をする人が増えていくのではないかと予測しています。例えば、“企業と個人”や、“個人と個人” という形です。

このように、1人ひとりがやりたいことを実現しようとしたとき、勉強する機会が増えていきます。何かを「学びたい、やりたい」と思ったときに、スムーズにスキル習得ができるようにサポートするのが私たち「MENTA」の役割です。

学び初めの“ゼロからイチ”の障壁をなくし、本当にやりたいことに挑戦していく人のサポートをしていきたいですね。今は学習のサポートがメインですが、スキルだけでなく仕事の仕方など、「MENTA」を通じてもっと個人をエンパワーメントしていきたいと思っています。


メンタ法人サービス
また「MENTA」では、「法人向けサービス」をはじめました!これは、社内のまだ経験が浅いエンジニアの方が、メンターを利用しすぐに相談ができるという“福利厚生”の使い方ができます。

優秀なエンジニアの採用は難しいこともあり、若いエンジニアの方を社内で育成する企業も多いんです。しかし、そもそもエンジニアが少ないことでリソースが不足していることもあり、「社内の人材育成に時間が取れない」といった声も多く聞かれます。

そこで立ち上げたのが、「法人向けサービス」です。これは、社会課題となっている“デジタル人材不足” に対しても、解決に役立てられるのではないかと考えています。

今後もさらに成長させ、「MENTA」を通じて個人のエンパワーメントを高めるとともに、社会課題の解決にも貢献していきたいですね。



MENTAの詳細を見る

<編集後記>

この記事を書きながら、私自身もコーディング学習のために「Webサービス」を利用したことを思い出した。たった1つ記号や文字が足りないだけでエラーになるので、どこで間違えているか気づけないと無限ループに陥る…..

私は会社の先輩などまわりの人にすぐ相談できたが、独学となればつまずいた時に学びを止めてしまう、諦めてしまうこともあるだろう。そんな新しいことに挑戦しようと思ったとき、学びの障壁を取り除いてくれるのが「MENTA」なのだ。

そして、困っているのは個人だけではない。エンジニア不足や人材育成まで手が回らないといった課題を持っている企業は多い。「法人向けサービス」については、問い合わせをすると、適切なメンターを探して提案までしてくれるそう。

ぜひ、課題を感じている企業の方や、独学でのスキルアップに困っている人は「MENTA」のホームページを覗いてみてはいかがだろうか。



ライター,松中朱李,shuri matsunaka
編集/ライター
So-gúd編集部
松中 朱李
神奈川県・横浜市出身。アパレル企業にて販売からバイイングを経験したのち、イタリア・フィレンツェへ留学。現地で2年間を過ごし、気づけば靴職人に。帰国後は、メンズシューズブランドにて広報PR、メディア運営、ECサイトディレクション等に従事し、現在に至る。うさぎの散歩とヨガが日課。
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